被ばく医療総合研究所は、部局間協定を締結しているインドネシア原子力庁放射線安全研究センターとの共同研究により、同国の高自然放射線地域であるスラウェシ島マムジュ地域において包括的な線量評価を実施しました。予備調査結果は既に報告していますが(https://irem.hirosaki-u.ac.jp/news_detail_20200930.html)、本研究ではさらに広範囲に及ぶ大規模な調査を実施し、前回の調査では実施できなかったラドン(Rn-222)の放射性同位体であるトロン(Rn-220)の線量寄与や、食事による経口摂取による内部被ばく線量を明らかにしました。その結果、住民が受ける年間実効線量が17 mSv(ミリシーベルト)から115 mSvであり、その平均値は32 mSvとなり生涯線量として2 Svを超えることが推定されました。今後は当該地域において健康影響調査を実施し、放射線防護分野における大きな課題である低線量率放射線の慢性被ばくによる人体影響に関する新たな知見を見いだそうと計画しています。本調査には、本学保健学研究科の他、電力中央研究所、広島大学、琉球大学といった国内研究機関の研究者も参画しています。
なお、本論文は下記のScientific Reportsのウェブサイトから無料でダウンロード可能です。
Eka Djatnika Nugraha, Masahiro Hosoda, Kusdiana, Untara, June Mellawati, Nurokhim, Yuki Tamakuma, Abarrul Ikram, Mukh Syaifudin, Ryohei Yamada, Naofumi Akata, Michiya Sasaki, Masahide Furukawa, Shinji Yoshinaga, Masaru Yamaguchi, Tomisato Miura, Ikuo Kashiwakura, Shinji Tokonami: Comprehensive exposure assessments from the viewpoint of health in a unique high natural background radiation area, Mamuju, Indonesia. Sci Rep 11, 14578 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-93983-2
https://www.nature.com/articles/s41598-021-93983-2.pdf