被ばく医療総合研究所
所 長 床次 眞司
弘前大学被ばく医療総合研究所は、平成22年3月に被ばく医療教育研究施設として設置され、同年10月に研究所と改名しました。本研究所は万が一の放射線被ばく事故への備えとして、被ばく医療のための人材育成と被ばく線量評価などについての基礎的研究を進めて参りました。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故後の弘前大学の対応では、本研究所メンバーは中心的な役割を果たし、その過程で様々な学術的な情報発信も行い、これら成果は国内外で高く評価されています。福島原発事故への支援の一環として、全学組織である「福島県浪江町復興支援プロジェクト」にも取り組んでおります。
福島原発事故への対応を受けた国の原子力災害対策指針の改正により、原子力災害時および平常時における被ばく医療体制が大きく見直され、本学は平成27年8月26日に原子力規制委員会から、原子力災害に対応する「高度被ばく医療支援センター」および「原子力災害医療・総合支援センター」に指定されました。また、原子力規制庁による人材育成事業を実施するとともに、文部科学省からは、共同利用・共同研究拠点に認定され、積極的に研究拠点活動を展開しています。さらに、海外の大学や研究機関と部局間協定を締結し国際共同研究も進めています。特に、インドネシア、タイ、カメルーン、ケニアなどアジア・アフリカの大学や研究機関と連携を強化し、本研究所の国際的なプレゼンスを高めてきました。本研究所は、支援センターの業務を行うとともに、放射線科学および被ばく医療における安心・安全を確保するため、さらなる海外でのネットワークの拡大を図りつつ、国際的な教育研究を推進します。
本研究所は令和2年4月から、計測技術・物理線量評価部門、リスク解析・生物線量評価部門、放射化学・生態影響評価部門、国際連携・共同研究推進部門、被ばく医療学部門の5部門に再編されました。これにより、弘前大学の機能強化の1つである「被ばく医療」を推進する放射線被ばく医療の専門家集団として、弘前大学の教育・研究の発展に貢献するとともに、地域ならびに世界に向けて様々な課題に取り組んでいく所存です。関係各位のご指導、ご助言を切にお願い申し上げます。 所 長 床次 眞司