国際原子力機関(IAEA)で開催された新しいラドン線量換算係数に関する技術会合で講演(放射線物理学部門)

国際原子力機関(IAEA)で開催された新しいラドン線量換算係数に関する技術会合で講演(放射線物理学部門) 新着情報

 放射線物理学部門の床次眞司教授は、IAEAからの依頼を受けて、10月1日から4日にウィーン国際センター内のIAEA本部で開催された「新しいラドン線量換算係数に関する技術会合」で講演を行いました。この会合は、ICRPが新たに提案した「吸入摂取したラドンから被ばく線量へと換算するための新しい線量換算係数の適用」について検討するもので、国際放射線防護委員会(ICRP)、国連科学委員会(UNSCEAR)、世界保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)などの関連機関のほか、30か国以上から50名以上の関係者が参加しました。
 床次教授は、過去に数回改訂された線量評価のための換算係数の歴史的背景と、それが線量評価に及ぼす影響について解説を行いました。講演終了後には、多くの研究者から質問や技術協力の相談を受けました。
 また、この会合では27か国の家屋内や職場環境におけるラドン濃度の全国調査結果や、新しい線量換算係数の導入に関する検討状況について紹介がありました。日本からは細田正洋兼任講師が、原子力規制庁からの依頼を受け我が国の現状について報告しました。
 その後、①家屋内でのラドンによる現存被ばく、②職場環境でのラドンによる現存被ばく、③職場環境でのラドンによる計画被ばくの3つのワーキンググループに分かれ、それぞれの被ばく状況において、新しい線量換算係数の導入に関する問題点について議論が行われました。床次教授は、職場環境におけるラドンの現存被ばくのワーキンググループの座長にも指名され、ワーキングループの取り纏めと成果報告を行いました。
 本技術会合の結果は、11月に開催されるIAEAの放射線安全基準委員会(RASSC)に提出され、新しいラドンの線量換算係数の導入に関する議論が継続されます。



会合が開催されたウィーン国際センター


床次教授による講演の様子