第9回高レベル環境放射線地域に関する国際会議(ICHLERA2018)を開催(放射線物理学部門)

第9回高レベル環境放射線地域に関する国際会議(ICHLERA2018)を開催(放射線物理学部門) 新着情報

 平成30年9月24日から27日にかけて文京町キャンパスにある創立50周年記念会館において、柏倉幾郎副学長と床次眞司所長を大会長として第9回高レベル環境放射線地域に関する国際会議を開催しました。会議には22か国から136名の参加があり、関連分野の最先端の情報共有と十分な意見交換ができたと考えています。
 ブラジル、中国、インドに代表されるように世界各国には自然放射線レベルが高い地域が存在しております。低線量率慢性被ばくによるヒトへの影響を解明するために、これらの地域において様々な研究が行われてきました。これらの研究成果を報告する場として1回目の「高レベル自然放射線およびラドン地域に関する国際会議」が1977年にブラジルで開催されました。以降、4から6年おきにインド、中国、イランや欧州等で開催され、2004年には大阪、前回の会議は2014年チェコ共和国プラハにおいて開催されました。
 今回は、東京電力・福島第一原子力発電所事故後にはじめてわが国でこの国際会議を開催することとなったため、会議名を「高レベル環境放射線地域に関する国際会議」と改名し、副題を「低線量率慢性被ばく影響の理解と公衆へのインパクト」としました。国際会議のトピックは、①新しい放射線防護の哲学及び概念、②環境モニタリング及び線量評価、③放射線防護のための環境モデリング、④自然起源放射性物質(NORM)、⑤高レベル環境放射線地域、⑥ラドン・トロン及びそれらの壊変生成核種の測定、⑥生物影響、疫学及び健康影響、⑦低線量(率)慢性被ばくによるリスク評価、⑧人体への曝露と責任、⑨放射線防護教育、⑩規制科学としました。さらに、それぞれのトピックを代表する世界的に著名な研究者を9名招へいし基調講演と招待講演を行いました。その他、33件の口頭発表と87件のポスター発表がありました。また、新しい取り組みとして放射線計測関連の企業によるプレゼンテーションも実施しました。
 多くの参加者から学会に対する賞賛の声を頂き、大変盛況のうちに終了しました。この会議において発表された論文は、放射線防護分野では権威のあるRadiation Protection Dosimetry誌に厳正な査読後来年夏頃掲載される予定です。



写真1 佐藤敬学長による開会の挨拶


写真2 口頭発表の様子


写真3 ポスター発表の様子