放射線化学部門の楊国勝研究機関研究員が平成29年度弘前大学若手優秀論文賞を受賞しました。若手優秀論文賞は、本学の研究者であって応募した年度の年度末に45歳以下であること、独創的で著者の将来性を伺わせるに足る論文で平成27年4月以降に学術雑誌に発表された論文1編を対象とし、研究内容が本学の研究水準の向上に貢献することが期待できるものであることが選考の対象となります。
楊国勝研究機関研究員は、英国科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した以下の論文で若手優秀論文賞を受賞しました。
135Cs activity and 135Cs/137Cs atom ratio in environmental samples before and after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, Scientific Reports,6:24119,doi: 10.1038/srep24119 (2016)
この論文では、陽イオン交換樹脂による分離・精製法とトリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-QQQ)を組み合わせた、新たに開発した分析法を用いて、福島県内の環境試料中のCs-135濃度とCs-135/Cs-137同位体比の結果を発表しました。福島第一原発事故直後に採取した植物試料の分析結果から、福島第一原発事故起源のCs-135/Cs-137同位体比は0.334±0.005であり、今後の環境動態解析の際にトレーサとして有用であることを明らかにしました。さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故前の福島県内における土壌中のCs-135濃度を初めて明らかにしました(最大値0.0212±0.0024 Bq kg-1)。
なお、受賞者講演会は、平成30年2月上旬に行われる予定です。
受賞した論文は,以下のURLからフリーでダウンロードできます。
http://www.nature.com/articles/srep24119