原子力人材育成等推進事業費補助金(原子力規制人材育成事業) 平成29年度 弘前大学 「原子力災害における放射線被ばく事故対応に向けた総合的人材育成プログラム」 募集要項
概要
本学は,平成28年10月に原子力人材育成等推進事業補助金(原子力規制人材育成事業)に採択されました。本事業は,原子力規制に関わる人材を,効果的・効率的・戦略的に育成することを目的としています。
青森県は,数多くの原子力関連施設が集中しており,本学は地域住民の安全・安心確保の一環として,被ばく医療に対する取り組みを続けてきました。原子力災害を含めたいわゆる放射線被ばく事故では,被ばく者への医療対応,被ばく線量評価(物理学的ならびに生物学的線量評価),機器を用いた環境の放射線測定,内部被ばく者のバイオアッセイが極めて重要とされています。特に被ばく線量評価,環境中の放射線測定,バイオアッセイから得られるデータは,それぞれが放射線被ばく者の医療方針の選択に大きく貢献するものであり,緊急被ばく事故対応においては極めて重要な位置を占めています。
本プログラムでは,1) 染色体線量評価に貢献する人材育成,2) 放射性プルーム評価に貢献する人材育成,3)バイオアッセイ及び難分析放射性核種環境モニタリングに貢献する人材育成,4) 被ばく医療の先端の知識と技術を有し実践できる人材の育成を行います。
募集プログラムについて
①「染色体線量評価に貢献する人材育成」
原子力災害を含めた放射線被ばく事故では,被ばく放射線量の決定が被災者の医療対応において極めて重要な位置を占めます。本プログラムでは染色体解析技術研修と,染色体解析を構築したネットワークを利用して,染色体線量評価が出来る人材を育成します。
達成目標として,染色体線量評価に係る染色体異常,とくに二動原体染色体,環状染色体,染色体転座などの放射線で誘発される構造異常を,原理原則に基づき的確に検出できる能力を備えた人材を育成することです。また,染色体の解析結果をもとに,樹立されている既存の標準曲線に照らし合わせ,被災者の放射線被ばく線量を算出できる人材を育成します。
②「放射線プルーム評価に貢献する人材育成」
原子力災害を含めた放射線被ばく事故では,放出される放射性プルームを迅速に評価することは,周辺住民の避難や初期対応を決定するうえで重要となります。本プログラムでは,放射性プルーム計測の原子力災害時の位置づけ・役割・意義についての講義・演習や,放射性プルーム計測器を用いた実環境中での実習を行います。
事故初期に適切な計測および線量評価が行える技術者や,原子力災害時に必要な知識を修得した人材の育成を目標としています。
③「バイオアッセイ及び難分析放射性核種の環境モニタリングに貢献する人材育成」
原子力災害を含めた放射線被ばく事故では,被ばく放射線量の決定が被災者の医療対応において,極めて重要な位置を占めます。本プログラムでは,第一に,内部被ばく線量を評価するための最適な分析法と測定法を修得させます。第二に,原子力災害等により放出された環境中の放射性核種の分析法の修得および環境中での汚染・移行メカニズムの教育をします。
原子力災害対策指針では,緊急事態において,周辺環境の放射性物質による空間放射線量率,大気中及び環境試料中の放射性物質の濃度を把握し,関係機関で共有し公表することが重要であり,住民等の防護措置を適切に実施するための判断根拠としています。防災計画等に照らし合わせ,環境放射能モニタリングの重要性を教育します。
また,本プログラムでは,ゲルマニウム半導体検出器を用いて簡易に測定可能な134Cs,137Cs,131Iなどのγ線放出核種のモニタリングのみならず,化学分離を伴う専門的な技術が必要な難分析放射性核種の分析法を学ぶことにより原子力災害により汚染された環境のモニタリングに資する人材育成を目標としています。
④「被ばく医療の先端の知識と技術を有し実践できる人材の育成」
本プログラムでは,「原子炉のみならず,多様な放射線利用と人間・環境・放射線との関わり,放射線防護などに関する知識・実践にかかる教育研究プログラム」として実施するものであり,原子力災害や放射線被ばく事故における医療対応や,放射線防護に大きく貢献する人材育成を行うものです。
目標とする人材像は,「放射線の生体影響評価や放射線防護に関する世界最先端の知識と技術を有し実践できる人材」,「汚染を伴う多くの傷病者が発生した場合を含めた多様なケースに対応できる人材」,「海外の被ばく医療チームと協調して東アジアにおける有事の際に貢献できる人材」としています。
実施期間
平成29年4月~平成30年3月
対象者
募集プログラム① 本学学部学生・本学大学院生・社会人
募集プログラム②③④ 本学学部学生・本学大学院生
定員
募集プログラム① 3~5名
募集プログラム②③ 2名程度
募集プログラム④ 下記「実施項目およびスケジュール」参照
※応募者が多数の場合は選考させていただく場合があります。
実施項目およびスケジュール
①「染色体線量評価に貢献する人材育成」
・染色体解析技術研修(8~9月)※4日間(日程調整中)
1日目:採血,分離リンパ球培養
2日目:講義(放射線生物学の基礎,放射線の人体影響,
染色体線量評価法の原理,事故事例における染色体線量評価)
3日目:細胞固定,標本作成,染色,封入
4日目:顕微鏡観察,トレーニングソフトの使用説明(ID, パスワードの配布)
・インターネットを通じて,解析技術修得のための訓練(8月~3月)
・研究テーマの実施(8月~3月)
②「放射線プルーム評価に貢献する人材育成」
・放射性プルーム計測の原子力防災の中での位置づけや,
その役割や意義 (4月~8月) 【講義】
・放射線計測器の取扱い(7月~8月) 【講義・演習】
・プルームの動きと拡散評価 (8月~9月) 【講義・演習】
・被ばく評価との関係(8月~9月)【講義・演習】
・実環境での測定(9月~2月)【実習】
③バイオアッセイ及び難分析放射性核種の環境モニタリングに貢献する人材育成
・試料の前処理法(4月~7月)
・放射性核種の化学分離・精製(5月~12月)
・測定装置の概念と使用法(5月~7月)
・誘導結合プラズマ質量分析装置の原理と取扱い(9月~10月)
・環境試料の採取・フィールド調査(10月~11月)
・各種測定装置による分析(9月~2月)
・尿試料中のアクチニドの測定及びデータ解析法(10月~2月)
・測定データを基にした内部被ばく線量評価法(1月~2月)
・放射性核種の環境中での汚染及び移行のメカニズム(1月~2月)
・原子力災害時における環境放射能モニタリングの重要性(1月~2月)
・成果発表(3月)
④「被ばく医療の先端の知識と技術を有し実践できる人材の育成」
平成29年度の実施スケジュールは以下の予定です。※【】:募集予定人数
・韓国原子力医学院(KIRAMS)との被ばく医療訓練(6月)【2名程度】
・弘前大学被ばく医療研修会(8月)【4名程度】
・若手研究者のための放射線と健康に関する教育シンポジウム(ESRAH)(9月)【10名程度】
・先端放射線科学講演会(2月~3月)【定員なし】
・大学院生の国際学会参加支援事業(年2回程度)【5名程度】
修了証書の授与
各段階においてレポートやテスト,口頭発表により習熟度を教員が判定し,修了要件を満たした者に対して,全てのプログラムが終了した後に修了証書を授与します。
募集期間
①,②,③・・・平成29年4月3日(月)~4月14日(金)
④・・・募集時期については,都度ご案内します。
応募方法
「申込書のダウンロード」から所定の様式(wordファイル)をダウンロードし,必要事項を記載のうえ, 1)~3)のいずれかの方法でお申込みください。
1)Eメールでのお申込み
件名を「(原子力規制人材育成事業)プログラム申込み」とし,
jm5401@hirosaki-u.ac.jp へ申込書を添付して送信してください。
2)FAXでのお申込み
0172-39-5514へ申込書を送信してください(送信票不要)。
3)紙面でのお申込み
プログラム担当教員もしくは事務室(被ばく医療総合研究所,保健学研究科総務グループ)へ直接提出してください。
●申込書の受領をEメールもしくは電話にて随時ご連絡いたします。
お申込み1週間以内に連絡がない場合は,お手数ですが下記の「お問合せ先」までご連絡ください。
運営
弘前大学原子力規制人材育成事業運営委員会
お問合せ先
国立大学法人弘前大学 被ばく医療総合研究所 総務グループ 相馬
〒036-8564 青森県弘前市本町66-1 Tel:0172-39-5521 Fax:0172-39-5514
https://irem.hirosaki-u.ac.jp/ E-mail:jm5401@hirosaki-u.ac.jp