被ばく医療総合研究所では、平成29年度に、保健学研究科と共同で申請をした原子力災害影響調査等事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)が採択され、本年度も継続して事業を推進しています。本事業は、浪江町民から挙がった不安を解消すべく町民の被ばく線量評価に資する調査研究として、①大気中放射性物質濃度の調査、②河川水及び底質土中の放射性物質濃度の調査、③帰還した浪江町民の個人被ばく線量と居住区域内での空間線量率の評価、④帰還した浪江町民の家屋内外におけるラドンによる内部被ばく線量評価、⑤浪江町全域の自然放射線による空間線量率マップ、人工放射線の寄与マップの作成の5項目を実施しています。研究代表者は所長兼放射線物理学部門教授の床次眞司で、研究分担者は基本的に被ばく医療総合研究所と保健学研究科の若手教員や学生が中心となっています。
本研究グループでは、1年に1回研究者及び事務職員が一堂に介して研究班会議を実施しています。本年度は6月15日に開催しました。研究班会議には本事業の事務局として委託されている原子力安全研究協会からも参加があり、昨年度の成果概要と今年度の研究計画について活発な議論が行われました。
今後も、帰還後の住民の不安を軽減するべく、引き続き住民のニーズに即したデータを蓄積するとともに、人工放射線と自然放射線による被ばくの実態を明らかにし、住民に対するリスクコミュニケーションに活用するために信頼できるデータを取得していきたいと考えています。