放射線化学部門研究機関研究員の楊国勝(YANG GUOSHUNG)博士らの研究チームは,陽イオン交換樹脂による分離・精製法とトリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS/MS)を組み合わせた,新たに開発した分析法を用いて,福島県内の環境試料中のCs-135濃度とCs-135/Cs-137同位体比の結果を英国科学誌(サイエンティフィック・リポーツ・電子版)に発表しました。東京電力福島第一原子力発電所事故により大量のセシウム(Cs)同位体が放出されました。これらのセシウム同位体のうち,Cs-135は半減期が230万年と極めて長く,環境中に長期間にわたって残留し続けます。福島第一原発事故直後に採取した植物試料の分析結果から,福島第一原発事故起源のCs-135/Cs-137同位体比は0.334±0.005であり,今後の環境動態解析の際にトレーサとして有用であることを明らかにしました。
なお,発表した論文は,以下のURLからフリーでダウンロードできます。
http://www.nature.com/articles/srep24119