福島原発事故により海洋へ放出されたトリチウムに関する共同研究成果が「Geochemical Journal」誌に掲載(放射線化学部門)

福島原発事故により海洋へ放出されたトリチウムに関する共同研究成果が「Geochemical Journal」誌に掲載(放射線化学部門) 新着情報

 放射線化学部門の山田正俊教授と東京大学大気海洋研究所、スイス連邦水圏科学技術研究所、海洋研究開発機構との共同研究の成果が「Geochemical Journal」誌に掲載されました(国際共著論文)。
本研究では、福島第一原発事故直後に福島県沖において採取した表面海水中のトリチウム(3H)とセシウム-137(137Cs)の濃度を測定しました。トリチウムとセシウム-137濃度には正の相関がみられ、3H/137Cs比は福島第一原発の原子炉内の生成比と同じ値でした。このことは、これらの放射性核種が福島第一原発起源であることを示しており、事故直後に海洋へ放出されたトリチウムは0.05 ± 0.03ペタベクレルと見積もられました。なお、この放出されたトリチウム量は、過去の大気圏核実験によるグローバルフォールアウトで放出されて、すでに環境中に存在するトリチウム量に比べて極めて小さい値です。

[掲載論文]
Takahata, N., Tomonaga, Y., Kumamoto, Y., Yamada, M., and Sano, Y. (2018) Direct tritium emissions to the ocean from the Fukushima Dai-ichi nuclear accident.
Geochemical Journal, Vol.52, Doi:10.2343/geochemj.2.0499.

 なお、この論文はオープンアクセスで、以下のURLからフリーでダウンロードできます。
https://www.terrapub.co.jp/journals/GJ/pdf/5202/52020211.pdf