2018年2月16日から20日にかけてインドネシア・スラウェシ島のマムジュ市において本学と連携協定を締結しているインドネシア原子力庁(BATAN)との共同研究によって自然放射線・放射能の調査を行いました。マムジュ市は近年新たに発見された高自然放射線地域であり、放射線物理学部門は国内機関(核融合科学研究所、電力中央研究所等)とも協力してデータを取得しています。今回は、過去の共同研究によって見出された特に家屋内外のラドン濃度が高かった家屋において、1) 屋内外のラドン濃度及びラドン子孫核種濃度の連続測定、2) 大気中ラドン濃度の高度分布調査、3) 地表面からのラドン散逸率測定、4) γ線波高分析による天然放射性核種濃度及び空気吸収線量率の評価、5) 飲用水中のラドン濃度の評価を実施しました。また、同市内でBATANが実施している健康診断にも同行し、現地での状況を把握することができました。これらの調査結果は今後住民への健康影響を考える上で重要な基礎データとなり得ます。引き続きBATANとの共同研究を進めて行くことで低線量率慢性被ばくによるヒトへの影響を解明したいと考えています。
写真1 今回の調査メンバー。左から佐々木道也博士(電力中央研究所)、Dr. Mukh Syaifudin(BATAN)、床次眞司、Dr. Dadong Iskander(BATAN)、赤田尚史博士(核融合科学研究所)、細田正洋、山田椋平(博士前期課程2年)、Dr. Eko Pudjadi(BATAN)
写真2 調査対象家屋において空間線量率を測定している様子(写真は建材からの線量率を測定している時の様子である)
写真3 土壌から湧出してくるラドンを蓄積するための容器を設置している様子
写真4 家屋外のラドン濃度及びラドン子孫核種濃度を測定している様子(ラドン子孫核種濃度の測定システムは本研究室が開発したものである)