国際会議において福島第一原子力発電所事故後における環境試料中のU-236とU-236/U-238同位体比について口頭発表(放射線化学部門)

国際会議において福島第一原子力発電所事故後における環境試料中のU-236とU-236/U-238同位体比について口頭発表(放射線化学部門) 新着情報

 放射線化学部門研究機関研究員の楊国勝(YANG GUOSHUNG)博士が,ベルギーのブリュッセルにおいて開催された分析技術に関する国際会議(8th Annual Congress on Analytical and Bioanalytical Techniques)において,DGAレジンによる分離・精製とトリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS/MS)を組み合わせた,環境試料中の極微量のU-236濃度とU-236/U-238同位体比の新たな分析法を開発し,福島県内の環境試料中のU-236濃度とU-236/U-238同位体比を明らかにした結果について口頭発表しました。
 東京電力福島第一原子力発電所事故により極微量のウラン(U)同位体が放出されましたが,U-238は天然放射性核種であり,土壌中には約3ppmと比較的多量のU-238が含まれています。加速器質量分析法は測定する放射性核種間のラインの交換や試料から測定ターゲットを作成するまでの化学分離に時間が掛かるなどの欠点を有しており,大量の試料から多核種を迅速に分析するには限界があります。加えて,測定装置が非常に高額であることから世界中で保有している研究施設は約110施設に限られており,また,そのうちのほとんどの施設は年代測定のための放射性炭素(C-14)の測定が主であるのが現状です。そのため,U-236/U-238同位体比から原発事故による影響を推定することはかなり難しい現状です。楊博士らは,それまで分析が極めて難しいことからデータのなかった福島第一原子力発電所事故後における福島県内の土壌試料中のU-236濃度とU-236/U-238同位体比を新たに開発したトリプル四重極誘導結合プラズマ質量分析法により明らかにしました。
 なお,楊博士はこの国際会議において,組織委員会の委員としても活躍しました。





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